http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE89P02J20121026

米アップルが25日に発表した第4・四半期(7─9月)決算は、その2日前に発表された小型タブレット端末「iPad mini(アイパッド・ミニ)」の存在意義も小さく感じさせる内容となった。
7─9月は、iPadの販売台数が1400万台と予想を大幅に下回った一方、「iPhone(アイフォーン)」の販売台数は予想を上回る2700万台近くとなった。iPadの利益率はiPhoneに比べて低く、iPadミニの利益率はそれをさらに下回るとみられる。アップルの「生態系」に活力を与えているのは、依然としてiPhoneなのだ。
純利益こそアナリストの予想に届かなかったものの、アップルはまたしても目覚ましい成長を見せた。売上高は前年同期比27%増で、1株当たり利益(EPS)は同23%増となった。こうした成長の大半は、売上高のほぼ半分を占めるiPhoneがもらたしたものだ。iPhoneの販売台数は前年比58%増加した。一方、iPadの販売台数の伸びはその半分以下にとどまった。成長ペースが半分にとどまったというのも、まだ話の半分に過ぎない。
韓国サムスン電子と争った特許訴訟で明らかになった文書によると、過去数年のiPhoneの粗利益率は49─58%。一方、iPadの粗利益率はその約半分だ。iPadミニについてはアップルも25日、利益率がさらに低くなることを認めている。
サンフォード・バーンスタインが予想しているように、iPadミニが販売開始から1年で3000万台売れたとしても、1株利益は約1ドルしか押し上げられない。アナリストの通期予想1株利益53ドルの2%以下だ。低価格のiPadミニは利益率も低く、iPadとの食い合いも一部では起きるだろう。
相次ぐ新製品の導入で生産コストはかさむだろうが、10─12月期決算は大きな数字が並ぶだろう。デジタル製品はホリデー商戦の目玉の1つであり、アップルはデスクトップ、ノートパソコン、iPod(アイポッド)、タブレットで最新モデルを揃えている。また10─12月期は、9月に販売を開始した「iPhone5」の売り上げが決算に反映される初めての四半期でもある。
7─9月期決算が示したものは、業績は依然としてiPhone次第というアップルの姿だった。
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