ＮＴＴドコモは１３日、２０日に発売する米アップルの新型端末「ｉＰｈｏｎｅ（アイフォーン）５ｓ」について、２年契約で記憶容量１６ギガバイトのモデルを他社からの乗り換え、現在の利用者の機種変更とも「実質０円」で提供すると発表した。ＫＤＤＩ（ａｕ）とソフトバンクモバイルも同じ機種を実質０円としたが、新規や乗り換えの２年契約に限られる。
　３社は新型アイフォーンのうち低価格版の「５ｃ」について、それぞれの店舗で午後４時から予約受け付けを始めた。ドコモがアイフォーンを売るのは初めて。価格など詳細が発表されたことで大手３社による販売競争が本格化した。価格面ではドコモがやや優勢との見方が出そうだ。

　ソフトバンクモバイルは、午後４時の予約開始までに価格を公表できず、価格未定のまま予約を受けるという異例の事態となった。同社は「最終調整に時間がかかった。お客様には迷惑を掛けた」とコメントした。
　ドコモはどのモデルも他社からの乗り換え、機種変更とも同価格に設定した。低価格版５ｃの１６ギガバイト、３２ギガバイトの両モデルも実質０円で、１６ギガバイトでは１年間は月々５２５円の通信料割引も付く。定額データ通信料は全モデルで月額５４６０円となった。

　ａｕは２機種が実質０円。５ｓの１６ギガバイトは機種変更だと実質１万４１６０円になる。データ通信料は月額５４６０円。

　ソフトバンクモバイルも２機種が実質０円で、一部にはキャッシュバックがある。データ通信料はほかの２社と同じ月額５４６０円となった。

　東京都内のドコモショップ丸の内店には、予約開始前から購入希望者が並んだ。一番乗りとなった東京都江東区の会社員、 小山高弘 （こやま・たかひろ）さん（４０）は「午前７時半に来た。発売日に確実に手に入れたかった」と待ちきれない様子だった。

顧客流出防止に大胆な手　ドコモ、機種変更も０円

　ＮＴＴドコモは、米アップルの「ｉＰｈｏｎｅ（アイフォーン）」の新機種の価格で、他社からの乗り換えだけでなく、ドコモの既存顧客の機種変更でも「実質０円」のモデルを設定した。顧客流出に歯止めをかけるため、大胆な手を打ち出した。

　これまで競合他社がアピールしてきた実質０円は、乗り換えの利用者を対象にすることが多かった。最大手のドコモから利用者を奪うことを狙っていたからだ。

　大手３社で唯一アイフォーンを持たなかったドコモは、毎月１０万件を超える厳しい顧客流出に苦しんできた。

　ドコモは、他社からの乗り換えや、以前にドコモを利用していた顧客を対象にした基本使用料の割引などのキャンペーンも実施する。ＫＤＤＩやソフトバンクモバイルから、積極的に顧客を取り戻そうという攻めの姿勢だ。

　業界関係者は「通信各社は他社からの顧客獲得ばかりを重視してきたが、既存顧客に配慮することを含めた戦略変更が必要かもしれない」と話していた。

「アイフォーン一色に」　端末メーカーに衝撃

　「これではアイフォーン一色となる」。米アップルの新型「ｉＰｈｏｎｅ（アイフォーン）」を通信各社が実質０円で販売すると発表し、ほかの端末メーカーには衝撃が走った。自社端末の魅力をいかに訴えてアイフォーンに立ち向かうか、対応に苦慮しそうだ。

　「店の隅に追いやられるのは確実だ」。ＮＴＴドコモに供給するメーカーの幹部は唇をかんだ。ドコモでは新型アイフォーンのうち３モデルが無料になる。店頭では「実質０円」の広告が前面に押し出される見通しだ。

　ほかの端末メーカー各社は、アイフォーンに対抗できる端末を開発し、どう宣伝していくかが課題となる。

　今冬にも新端末の「エクスペリアＺ１」を発売するソニーモバイルコミュニケーションズ。 鈴木国正 （すずき・くにまさ） 社長は１３日、Ｚ１の発表会で、アイフォーンとの競合に関して「商品が強ければ必ず売れる」と語った。

　別のメーカーの関係者は「価格競争では厳しいのが目に見えている。腕時計型端末など周辺機器を含めたＰＲが必要になる」と強調した。

ソース：共同通信
http://www.47news.jp/47topics/e/245648.php
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