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実用性を追求、アップルがiPad miniに込めた絶妙なバランス

実用性を追求、アップルがiPad miniに込めた絶妙なバランス
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK3002O_Q2A031C1000000/?df=4
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米アップルが11月2日に発売するiPad mini


 米アップルが11月2日、画面サイズ7.9インチの新型タブレット「iPad mini」を発売する。9.7インチの「iPad」でタブレット市場を切り開いたアップルが、あえて小型のiPad miniを開発した狙いはどこにあるのか。iPad miniの実機を使い、iPadやiPhoneと比較しながら検証してみた。

 発売直前のiPad miniを試用して感じたのは、7インチ台タブレットとしての高い実用性だ。9.7インチから7インチ台に小さくなったことで、可搬性が向上。電車に揺られながら自然に操作できる大きさで、いつでもどこでもサイト閲覧やメールチェックで重宝するサイズに仕上がった。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)のように、つり革につかまりながら片手で扱うことは難しいが、ドア横のスペースにもたれかかって両手で使う分には全く問題ない。


iPad mini(左)はiPadより一回り小さくなり、携帯性が格段に高まった

iPad mini(左)はiPadより一回り小さくなり、携帯性が格段に高まった



 iPad miniの本体幅は134.7ミリ。7.9インチの画面サイズを持ちながら、「ベゼル」と呼ばれる画面周縁部分を細くしたことで、片手でつかめるサイズに収まった。このベゼルの細さが、本体の格好よさを醸し出している。他の7インチタブレットはベゼルが太く、デザインが洗練されていないように見える。

 さらに7.2ミリという厚さも持ちやすさに寄与している。片手でつかむという持ち方は、手の小さい人には難しいかもしれない。しかしiPad miniは、本体左下を片手でつかんで使うことも可能だ。iPadでは重さに耐えられないが、308グラムのiPad miniなら長時間、片手で支えられる。

 サイズはスーツのポケットにギリギリ入るくらい。電車でiPad miniを使っているときにターミナル駅で乗客が押し寄せて使用を中断せざるを得なくなったときでも、すぐにポケットしまえるコンパクトさがある。
 

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iPad miniの本体幅は134.7ミリ。ベゼル部分が細く、片手で持てる

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重さ308グラムのため、本体左下を片手でつかんで使うことも可能





■「モバイルで使えるタブレットの本命」

 2010年春に9.7インチのiPadに初めて触ったときに、「これならノートパソコンの代わりに毎日持ち歩いて出先で仕事ができる」と喜んだものだ。しかし実際は、680グラムは意外に重く、モバイル環境で大量のメールを返信したり原稿を執筆したりするには、タッチパネルのiPadでは作業効率に限界があった。

横向きに配置したiPad mini
横向きに配置したiPad mini

 外付けキーボードをiPadのために持ち歩いたこともあるが、それではノートパソコンとほぼ同じ重さとなってしまい、「仕事量を考えると、『MacbookAir』を持ち歩くのが最適」という結論に至った。結局iPadは自宅に置きっ放しとなり、モバイル環境で使うのはMacbookAirになった。

 それ以降、新製品が発売されるたびにiPadを買い替えているが、どのバージョンも買った当初はモバイル環境で使うものの、使う場所はいつしかリビングやベッドに落ち着いてしまう。自宅ではiPadが使いやすく、ネットでの調べ物やメールチェックに活用している。パソコンを使う時間が極端に減り、仕事以外の大半を占める“軽めの”作業はiPadでこなすようになった。

 振り返ると、iPadは持ち運んで使う「モバイル」機器ではなく、定点にいて無線で使う「ワイヤレス」機器だった。同じような人が多かったことはiPadの売れ方にも表れている。初代iPadでは3G(第3世代携帯電話)版がそこそこ売れていたが、最近では圧倒的にWi-Fi(無線LAN)版がよく売れている。

充電端子部分はiPhone5と同じ8ピンのコネクタを採用した

充電端子部分はiPhone5と同じ8ピンのコネクタを採用した

 この秋からiPadを販売するKDDIの田中孝司社長は、「10インチ台はWi-Fiモデルが8割程度だろうが、7インチ台はWi-Fiモデルは4割程度になり、(3Gモデルを)外で使う傾向が強くなるのではないか」と推測していた。iPad miniが7インチ台になったことで、タブレットを持ち歩いて使うシーンが増えそうだ。

 アップルも、9.7インチのiPadをモバイル用途で訴求することに限界を感じたのかもしれない。「モバイルで使えるタブレットの本命」としては、7インチ台というサイズがぴったりとはまる。

 この1週間、胸ポケットに入れたiPhone5を電話や簡単なメールチェックなどに使い、iPad miniはウェブ閲覧やアプリの実行、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)の読み書きなどに多用してきた。



 iPhone5の用途は電話がメーンとなったので、ほかの用途でバッテリーを消耗しなくなった。iPad miniで表示するTwitterなどは大画面になったため、見やすくて便利だ。 

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iPad miniの背面。アルミ素材を採用し高級感を出している

 さらにiPad miniはアルミ素材により高級感を出しており、所有していることの満足度を高めてくれる。安っぽい質感のタブレットとはここが大きく違う。

 iPad miniで気になるのはディスプレーの性能だ。これまで、アップルはiPadやiPhoneで高解像度の「Retina(網膜)ディスプレー」を採用してきたが、今回のiPad miniには搭載していない。iOSデバイスを初めて使う消費者は、全く気にならないクオリティーなのだが、Retinaディスプレーを搭載したiPhone4、4S、5や第3世代iPadを持つユーザーには無視できない解像度だ。実際、文字表示などにやや粗さが出ていることなどが、使うたびに気になってしまった。


 写真や動画などでは問題ないが、第3世代iPadの解像度が高くきれいという印象が強いため、iPad miniの解像度が低く感じられる。Retinaディスプレーを採用しなかったことが目立ってしまうのだ。

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ディスプレーの解像度は他社のAndroid製品に劣るが、携帯性と画面サイズの両立を図った

 解像度のスペックでiPad miniはAndroid(アンドロイド)を搭載したほかの7インチタブレットに負けてしまうが、画面の広さでは強い。「7インチ」タブレットと言っても、iPad miniは7.9インチの大きさで、ほかの7インチタブレットよりも表示面積が3割程度も大きい。片手で持てる携帯性を備えながら、画面サイズは同カテゴリーのタブレットよりも広いのだ。

 iPad miniとほかの7インチタブレットを比較するときには、「解像度」を取るか「携帯性と画面サイズの両立」を取るかがポイントになるだろう。

 メインカメラに関してはiPad miniと同時に発表された「第4世代iPad」もiPad miniも5メガピクセルで画素数に差はない。両モデルで撮影してみても、仕上がってきた画像に画質の違いはほとんど見られない。



 ただディスプレーを見ながら撮影しているときは、ディスプレーの解像度が高い9.7インチiPadのほうがきれいに見える。その点ではiPad miniは不利に感じられる。


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iPad miniで撮影した写真例


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iPad miniを使い室内で撮影した写真例



■価格、スペック、サイズで満足感を演出
 iPad miniを他の7インチタブレットと比べると、ディスプレーが見劣りするものの、本体の質感の高さや27万7500種類を越えるアプリの充実度などでは秀でている。価格は容量16GB(ギガバイト)モデルが2万8800円で、グーグル「Nexus7」の1万9800円やアマゾン「Kindle Fire HD」の1万5800円と比べてやや高い印象がある。しかし所有する満足感や高級腕時計を人前で付けるのに似た感覚を得られ、人前で使うことを考えると決して高いとはいえないだろう。

 願わくば、片手で持ったときにも安心して使えるようiPod touchのように「ストラップ」が付けられるとありがたい。ホワイトとブラックという2色に限らず、iPod touchのように赤や青などのカラーバリエーションがあっても良かった。

 iPad miniは万人に薦められる「完璧なタブレット」ではないかもしれない。画面がRetinaではない点に納得できない人も多いだろう。アップルはiPadやiPhoneなどこれまでのRetinaディスプレー搭載機で、ユーザーの目を肥えさせてしまった点は反省すべきだ。

 しかしiPad miniは、価格とスペック、本体サイズで絶妙なバランスを取ったモデルといえる。そうした意味でiPad miniに満足できるユーザーは多いはずだ。

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中央が7.9インチのiPad mini。iPhone5(左)は4インチで、iPad(右)は9.7インチ

 スペックを重視するユーザーは、第4世代iPadを選べばいい。iPad miniよりも携帯性が欲しいユーザーにはiPod touchという選択肢がある。

 今回でアップルは、iOSデバイスに4インチ、7.9インチ、9.7インチという3つの画面サイズをそろえた。それぞれに容量が異なるモデルが複数存在する。つまりユーザーは自分のライフスタイルに合った画面サイズと容量を自由に選べるようになった。数年前まではiPhoneしかなかったが、いまでは豊富なラインアップから自分が最適と考えるものを買える。

 ラインアップの整備という面からiPad miniが登場したことは、アップルにとってもiOSデバイスを欲しいと思う消費者にとっても、大きな意味がある。










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