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「アップルたたきつぶせ」手段選ばぬサムスン 韓国に負けた日本企業

「アップルたたきつぶせ」手段選ばぬサムスン 韓国に負けた日本企業


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 大阪府門真市。40年以上の歴史を持つ「パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館」を訪れた韓国サムスン電子の男性社員が述べた感想に、パナソニック関係者は衝撃を受けた。

 「サムスンの歴史館と一緒。パナソニックが、まねして作ったに違いない」

 幸之助歴史館は昭和43年に開館し、サムスンの会社設立は翌年の44年と、真相はその逆にある。サムスンの李健煕(イゴンヒ)会長が松下幸之助氏の“商の心”を愚直なまでに学んだことにより、2つの歴史館の内容が似てきたという。

 「李会長は幸之助さんの著書を読みあさり、役員にも配っていた」。サムスン元幹部はそう振り返る。

 今や世界の家電市場を席巻するサムスンだが、2000年代までは日本の家電メーカーにとってライバルとも言い難い小さな存在だった。李会長は、1993年に企業ロゴを「三星電子」を表すデザインから「SAMSUNG」に変更。

 「女房と子供以外はすべて変えよう」と革新を断行してきたが、それでも98年度の最終損益は、パナソニックが203億円の黒字だったのに対して、サムスンは大幅な赤字にあえいでいた。

 そんな日韓の立場が逆転したのは、サムスン、韓国LG電子などがウォン安と技術力を武器に、世界で存在感を見せ始めたからだけではない。「日本製は品質も性能も最高水準」という評価に甘んじ、日本の家電各社がヒット商品を生み出すための機動力、柔軟性を失っていったためだ。関係者は「大企業病に陥った日本の家電各社は重厚長大産業のようだ」と指摘する。

 李会長が幸之助氏の経営理念を習ったように、今の日本企業はサムスンや米アップルの経営戦略を取り入れられるのか。残念ながらそれは不可能に近い。

 「アップルをたたきつぶしてください。どんな手を使ってもいいから」。元サムスン社員だった日本人男性は、サムスン幹部が部下にこう指示するのをみて驚愕(きょうがく)した。

 事実、サムスンはライバル企業をつぶすために手段を選ばない。例えば、新興国の薄型テレビ市場で破格の低価格品を発売し、日本メーカーを後退させた。当然のことながら、売っても赤字という「逆ざや」に陥るが、潤沢な資金を持つサムスンなら可能だ。

 一方、マーケティングや消費者との関係作りにすぐれたアップル。その土台を築き上げた創業者、スティーブ・ジョブズ氏のような経営者は日本の家電各社におらず、「アップルやサムスンを目指したくても目指せない」と関係者は話す。

 サムスンの成長の理由はウォン安といわれるが、それとともに日本の優秀な技術者の人材流出も指摘される。しかも、最近は日本の技術者自らが韓国企業に売り込みをかけるケースが多いという。

 年収6千万円以上、専属秘書や運転手付きの車の支給…。こんな好条件をサムスンは提示するといわれるが、日本の技術者はそれだけで韓国企業に転職するのではない。

 三品和広・神戸大学大学院経営学研究科教授は「技術を評価せず、売れ行きだけを評価対象にした企業風土に、日本の技術者が嫌気をさした」と分析する。

 パナソニック、シャープなど関西企業が牽引(けんいん)してきた日本の家電業界。関西の製造業の底流には「やってみなはれ」が口癖だったサントリーの創業者、鳥井信治郎氏に代表されるチャレンジ精神が常に流れていたが、いつしか絶えてしまったのかもしれない。

 「あなたたちは、いつか韓国メーカーに負ける」

 約30年前、日本企業の攻勢で家電部門を売却した米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ元最高経営責任者(CEO)は、パナソニック関係者にこう予言した。その言葉が現実となっても、日本の家電メーカーの次の一手は見えてこない。日本経済をリードしてきた家電業界が今、危機に瀕している。メーカーはどこへ向かうのか。その針路はかすんだままだ。







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